福岡高等裁判所 昭和50年(ラ)56号 決定 1975年8月21日
抗告人
福岡道恵
抗告人
福岡直紀
右法定代理人親権者
福岡道恵
母
右両名代理人
西山陽雄
右抗告人らは、福岡地方裁判所小倉支部が同庁昭和四六年(ワ)第四三〇号損害賠償請求事件について、昭和五〇年五月二七日になした訴訟上の救助の取消ならびに猶予費用の支払を命ずる決定に対し即時抗告を申し立てたので、当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件各抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする。
理由
一本件各抗告の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。
二按ずるに、抗告人らが、訴訟救助を得ていた福岡地方裁判所小倉支部昭和四六年(ワ)第四三〇号損害賠償請求事件の訴を昭和四九年一〇月二日被告の同意を得て有効に取下げたことは本件記録上明らかであるところ、訴の取下は訴提起のときにさかのぼつて訴訟係属を消滅させ、受救助者の得た訴訟上の救助決定もまたその効力を失うものであつて、この場合訴の取下により自己の権利の正当性の主張を撤回した受救助者について、その資力の点を実質的に審査する余地はないものと解するを相当とするから所論は採用しえず、原決定は相当である。
三よつて本件各抗告を棄却し、抗告費用はこれを抗告人らに負担させることとし、主文のとおり決定する。
(生田謙二 右田堯雄 日浦人司)
抗告の趣旨
原決定を取消す。
との裁判を求める。
抗告の理由
一、本件訴訟は、証人調べ等、審理を尽くしていつたが、本案の真相に大いに疑義あるも、勝訴の見込みが立ちにくく、己むを得ず、取下げに至つたもので、よつて所期の目的を達するに至らなかつた。
二、抗告人らは、自賠責による補償を幾らか得ることとなつたが、抗告人らは他に資産もなく、また抗告人直紀は未だ児童でありこれらを生活の資に毎日を過しているもので、よつて支払いうる資力はないというべきである。